高速貨物 EH800-17+コキ 道南いさりび鉄道

 JR北海道の海峡線(新中小国信号場 - 青函トンネル - 木古内駅間)が、2016年3月26日の北海道新幹線開通に伴い、新幹線・在来線共用区間となりました。共用区間の架線電圧は交流20 kVから同25 kVに、保安装置はATC-LからDS-ATCに変更なることから、従来使用されていたEH500形およびED79形機関車は同区間を走行できなくなりました。そのため、同区間を牽引する機関車として複電圧仕様(交流20 kV・25 kV双方に対応)で新たに開発されたのがEH800形電気機関車です。EH800形はEH500形をベースに開発され、新幹線区間での走行に対応した2車体連結・主電動機8軸使用のH級機です。


車体
 車体構造および冷却システムの設計に際しては、青函トンネル内の高い湿度により発生する結露が考慮され、主電動機と主変換装置は個別の冷却用送風機で冷却されます。また、床下機器の着雪を防止するため、床下機器間を防雪カバーで覆う構造としています。運転室の運転台の正面には、液晶式の表示装置が1面設置され、速度計は近年の新幹線電車で使用されている液晶画面に速度計を表示する電子式速度計になっています。


制御・電源機器
 基本性能はEH500形に準じており、交流20 kVまたは25 kVを主変圧器を経由して主変換装置に導き、交流誘導電動機を駆動します。交流20 kVおよび25 kVに対応する複電圧車であり、主変圧器は、FTM5を各車に1基ずつ、計2基搭載しています。交流20 kVと25 kVに対応するために新規開発がなされ、定格容量は2,598 kVAを備えます。三次巻線には、山形新幹線や秋田新幹線の新在直通新幹線で使用されている三次電源タップ切替方式を採用し、デッドセクションを通過時に架線電圧が切替わった際、ATS-P地上子からの信号を受信後にタップ切り替えを行うことで三次巻線の電圧変動を抑えています。青函トンネル内の12 ‰の連続勾配において1,000 tの貨物(コンテナ車20両分)の牽引を行うため、最大引張力(起動時)はEH500形と同じ 411.9 kN(42 t)としています。1時間あたりの定格は4,000 kWとしていますが、これは共用区間での25 kVにおいての性能であり、在来線区間の20 kVにおいては性能が共用区間の76 %の出力となる1時間あたり3,040 kWとなり、最大けん引力は変わらないものの高速域での性能が低下します。
 主変圧器二次巻線以降の主回路機器に関してはEH500形と同等であることから、主変換装置はEH500形のものをベースに25 kVに対応し、PWMコンバータ1基 + VVVFインバータ1基で構成されたFMPU17を4基搭載しています。主変換装置1基で2基の電動機を制御する1C2M構成(台車単位での制御)とし、異常時には隣接する車両からの延長給電が可能な設計です。主変圧器三次巻線とは異なり、架線電圧が変っても主回路の切替えは行わず、架線電圧が低下した場合には、それに応じて出力が制限される仕様です。
 補機用の電源となる補助電源装置は、PWM制御インバータFAPU8を2基搭載しています。主変圧器の2次側にある電源タップ切替機能を持つ三次巻線(単相交流1,366 V・50 Hz[注 3]/単相交流1,389 V・50 Hz)を電源として三相交流440 V・50 Hz(定格容量150 kVA)を出力します。
 主電動機はEF210系以降のJR貨物電気機関車で標準的に採用されているかご形三相誘導電動機のFMT4A(定格電圧1,100 V・定格電流370 A、1時間定格出力565 kW)を8基吊り掛け式で搭載しています。冷却方式は強制風冷方式です。
 集電装置はシングルアーム型パンタグラフFPS6が採用され、1車体に1基搭載していますが、走行中は2エンド側車体からの集電を基本としています。共用区間での架線の位置に関して、在来線軌道中心と新幹線軌道中心で92 mmの差があることと、架線電圧25 kVに対応するため、新規に開発されました。上昇方式はバネ上昇式です。
 制動方式は回生ブレーキ併用電気指令式自動空気ブレーキを採用し、回生ブレーキを停止と抑速の際に使用します。


保安装置・無線
 保安装置は在来線用のATS-SF・Ps・PFと新幹線用のDS-ATCの車上装置が搭載され、車間の中間引張装置下部にDS-ATC用のトランスポンダ車上子を新たに取付けて、共用区間でのDS-ATCを利用した進路制御に対応しています。そのため、運転台のモニタ装置に列車番号入力機能が追加されている他に、運転台には、EB装置と共用区間用と在来線用の2つのTE装置の押しボタンが設置されています。これは、共用区間では列車防護が新幹線と同じ保護接地スイッチによる架線停電による方式であるためで、そのほかにも、共用区間でDS-ATCが使用できない場合に架線停電を検知してATC非常ブレーキを掛けるため無電圧継電器(NVR)を装備しています。
 無線装置は在来線用のCタイプ無線と津軽海峡線用の青函Bタイプ無線を搭載しています。デジタル列車無線システムのLCXアンテナは2エンド側車体側面に搭載されているため、その箇所のふくらみが目立つ形となりました。






高速貨物 EH800-11+コキ 道南いさりび鉄道



高速貨物 EH800-4+コキ 道南いさりび鉄道





EH800形主要諸元

形式 EH800
運用者 JR貨物
製造所 東芝
製造年 2012-2016年
製造数 20両
運用開始  2014年
最高運転速度 110 km/h
軸配置  (Bo-Bo)+(Bo-Bo)
軌間  1067 mm
電源 交流20 / 25 kV (50 Hz)
(架空電車線方式) 
全長 25,000 mm
全幅 2,972 mm
車体幅 2,808 mm
全高 4,280 mm
運転整備重量 134.4 t
軸重 16.8 t
動力伝達式 1段歯車減速吊り掛け式
台車  軸梁式ボルスタレス台車
(FD7O, P, Q, R)
主電動機 かご形三相誘導電動機
(FMT4A形)
主電動機出力 565 kW
制御方式 3レベルPWMコンバータ
+3レベルVVVFインバータ
制御 (IGBT)
制御装置 東芝製 FMPU17形
主変換装置
制動装置  回生ブレーキ(抑速用)併用
電気指令式空気ブレーキ
自動空気ブレーキ
耐雪ブレーキ
901号機は回生ブレーキを
発電ブレーキに切替え可能
保安装置 ATS-SF
ATS-PF
ATS-Ps
DS-ATC(ATC-L機能付き)
定格出力 4,000 kW(25 kV)
3,040 kW(20 kV)
最大引張力  411.9 kN (42,000 kgf)
(25 kV・起動時) 
定格引張力 架線電圧 25 kV 時:
240.5 kN (24,520 kgf)
架線電圧 20 kV 時:
187.0 kN (19,070 kgf) 





JR貨物EH800形 配置表

会社 形式 番号
貨物 五稜郭 EH800 901
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19
20
































EH800