日本海航路で定期貨物船を運航する傍ら日本初の長距離フェリー航路「阪九フェリー」を構築した関光汽船が、日本海航路の再興による地域活性化を目指していた小樽市とともに1968年から日本海でのカーフェリー航路計画に着手し、その後舞鶴市も参加し関光汽船と小樽市・舞鶴市財界の出資により1969年に「新日本海フェリー」が設立されました。小樽-舞鶴間の航路計画としましたが、その後敦賀市が寄港を求め小樽行きのみ敦賀港に寄港する形で合意に至りました。
1970年に、日本海側では初めての長距離フェリーとして舞鶴港-小樽港間に航路を開設。就航当時は青函連絡船など本州と北海道を連絡する航路は既に飽和状態にあったことから、北海道と関西地方を結ぶバイパスルートとしても注目されました。
就航した船舶は輸送力重視のほか、日本海特有の気象条件に対応するため比較的大型のフェリーでした。しかしながら客室は3等級のみであるのに加え、その他の旅客設備も同時期就航の他社のフェリーと比較して簡素なものとなっており、旅客よりも貨物輸送を重視していました。
しかし、こうした施策は1984年の「フェリーらいらっく」就航で転機を迎えます。デッキ層を増やし旅客設備の充実が図られたほか、既存の船舶についても1990年および1992年の2度に渡り、旅客設備の改装工事が行われました。
そして、1996年には、速力を大幅に向上させた「すずらん」「すいせん」が就航し、敦賀-小樽航路の所要時間は約9時間も短縮し約21時間となりました。青函トンネル開業による鉄道貨物のスピードアップなどと対峙する中で、特に生鮮食料品や生乳などの輸送も担い、所要時間が24時間未満となったことで、毎日運航が可能となりました。同様の施策は、2004年7月就航の「はまなす」「あかしあ」でも採られており、舞鶴-小樽航路の所要時間は約9時間短縮した約21時間となり、毎日運航の同航路では運用船舶数の削減が図られました。
航路および船舶の紹介
舞鶴~小樽 航路
・はまなす/あかしあ
2004年就航
総トン数:16,897トン
航海速力:30.5ノット
旅客定員:746名
車両積載数:トラック158台/乗用車65台
三菱重工 長崎造船所建造
敦賀~苫小牧東 航路
・すずらん/すいせん
2012年就航
総トン数:17,400トン
航海速力:27.5ノット
旅客定員:590名
車両積載数:トラック158台/乗用車58台
三菱重工 長崎造船所建造
新潟~小樽 航路
・らべんだあ/あざれあ

あざれあ 小樽港
2017年就航
総トン数:14,214トン
航海速力:25ノット
旅客定員:600名
車両積載数:トラック150台/乗用車20台
三菱重工 下関造船所建造
敦賀~新潟~秋田~苫小牧東 航路
・らいらっく/ゆうかり
2002/2003年就航
総トン数:18,229トン
航海速力:22.7ノット
旅客定員846名
車両積載数:トラック146台/乗用車58台
アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッド横浜建造
日本海沿岸と北海道を結ぶ新日本海フェリー